韓国No.1ケアメディアCarenationが語る、プレミアム医療消費者のつかみ方

notion image

Prologue

「健康に関心がある」を越えて、今まさに医療消費をしている患者とその家族、そしてケアの現場で一番近くにいる介護者までを同時につかまえられるメディア。韓国No.1の介護マッチングプラットフォームCarenation(ケアネイション)のソ・デゴン代表に、健康・医療業界のマーケターがこのケアプラットフォームをメディアとしてどう理解し、どう活用できるのかを詳しく伺いました。

Q. Carenationはどのようなサービスですか?

Carenationは70万人以上の会員が利用する介護マッチングプラットフォームで、患者と保護者(ご家族)向けケアサービス領域で業界約70%のシェアを保有する、韓国No.1のサービスです。患者と保護者向けの介護者検索アプリと、介護者向けの仕事検索アプリを2つ同時に運営しています。

Q. 代表はKAIST工学博士出身と伺いました。介護マッチング事業を始めたきっかけは?

介護サービス市場を調べる中で一番強く感じたのは、これほど重要な意思決定が行われる領域だというのに、その基準が思ったよりも不透明だということでした。介護は費用も高く、患者の状態によって必要な介護者の条件も大きく異なります。保護者にとっては、今支払っている介護費が適正なのかを判断するのが難しいんです。
そこでCarenationは、患者の状態と実際の取引データを基に介護費用を予測できれば、介護市場はもっと透明になると考えました。企業付設研究所を中心に、患者の状態と取引データを組み合わせて適正介護費を算出するアルゴリズムを継続的に高度化し、市場構造そのものを改善しています。データ中心のヘルスケアプラットフォームを通じて医療サービスの効率性とアクセシビリティーを高めることに注力しており、技術を軸に医療現場の課題を解決し、患者中心のデジタルヘルスケア生態系を作っていけることにやりがいを感じています。

Q. Carenationのユーザーはどんな人たちですか?

Carenationユーザーの60%以上が、50歳以上の患者の介護者を探すためにアプリを使っています。一方で、若い患者でも特定の病気や疾患で介護が必要になるケースも着実に増えているため、Carenationは単なるシルバーターゲットのメディアというより、医療と健康領域で実際に消費が起こっているメディアと表現するのが正確です。単に健康情報に関心がある人たちが集まる場所ではなく、今医療消費をしていて、その意思決定者である患者と保護者、そして介護者が集まる場所だからです。

Q. Carenationは介護マッチング以外にもさまざまなケア・ヘルスケア機能を提供していますね。

はい。介護者マッチングに加えて、病院同行、家事ケア、産後ケアなどケアサービス、近くの病院・薬局検索、服薬管理など多様なケアとヘルスケアサービスをあわせて提供しています。これも単なるサービスの拡張ではなく、患者と保護者の現実の生活文脈を反映したサービスで、介護を使った患者が退院後にも病院同行や家事ケアなどをアプリ内で連携して利用できるように仕組みを作っています。
Carenationユーザーは「健康情報を探しているだけ」の段階にはいません。すでに患者を介護していて、健康と医療に関わる消費を現実的に考えている状態です。これが、一般的なヘルスケアコンテンツメディアとCarenationの最も大きな違いです。
notion image

Q. Carenationユーザーの消費傾向にはどんな特徴がありますか?

Carenationで介護サービスを利用する顧客には共通の特徴があります。介護者を探した経験がないと実感しにくいものの、介護者は介護協会に電話1本でもつなげてもらえます。それでもCarenationユーザーは、患者の状態をアプリにわざわざ入力する手間をいとわずアプリを使います。これは「介護者を早く探す」ことが目的ではなく、「病状に合った最適な介護者を選ぶ」という明確な意志があるからです。
Carenationユーザーのペルソナを整理すると、消費においては価格よりも「うまく選べた」という満足感を重視する心理を持っていると言えます。
こうした消費者はブランド側から「説得しにくいターゲット」と誤解されることもありますが、実際には単に価格を訴えるのではなく、「患者に本当に必要な製品」だということが明確に説得されればプレミアム製品でも十分に支払う意思と能力があるユーザーだと解釈できます。いったん信頼したブランドについては再購入率も高く、自発的なレビューや口コミも積極的だから、結果的にマーケティングコストを抑えてくれるユーザーです。実際Carenationではレビュー作成への特典がないにもかかわらず、ほとんどの患者・保護者ユーザーが自発的に介護者レビューを残してくれていて、累計24,000件以上が集まっているという点が特徴として見えています。

Q. 実際にプレミアム消費も多いんでしょうか?

はい。Carenationでは副業レベルを越え、看護師資格を持つ専門医療人がプレミアム介護を提供するケースもあります。24時間常駐介護者を探すために1日の介護費だけで30万ウォン以上を支払う事例も少なくありません。Carenationは購買力が検証されたユーザーが集まるメディアだといえます。

Q. 広告の観点で見ると、Carenationにはもう一つの特徴があると伺いました。

一般的に健康・医療製品のターゲットは患者の保護者だと考えられがちです。しかし介護サービスを使うということは、保護者が常に患者のそばにいられないということでもあります。介護者は逆に患者の状態を一番近くで見守っていて、購入の意思決定に大きな影響を与える存在です。
例えば、長期間寝たきりになって筋肉量が減った患者をケアする際、介護者がタンパク質補給のために健康機能食品をすすめるケースは現場でよく見る光景です。この文脈で考えると、介護者は健康・医療ブランドにとってこの上ないインフルエンサーといえます。
そのためCarenationは、患者・保護者向けアプリだけでなく介護者アプリにも広告を同時に表示し、メッセージが実際のケア現場まで自然に届くように設計しています。

Q. 広告収益化にAdControlを導入した理由は?

Carenationには健康・医療関連の広告問い合わせが絶えず届いていました。主要分野としてはシルバーケア製品、ワクチン、健康機能食品、患者用おむつなど。ただ、社内リソースと事業の優先順位上、すべてに対応するのは難しく、一部のキャンペーンのみを選んで運用してきました。
しかしキャンペーンを一つ運用するたびに、開発チームと運用チームのリソースが繰り返し投入される構造は明らかな負担でした。そんな中AdControlを知り、広告主が自らキャンペーンを運営・管理できる広告プラットフォームを初期費用なしで構築し、運用負担を大幅に軽減できるという点が魅力的だと感じました。
何より、社内で優先順位に押されていた広告収益化事業を、広告事業の専門性を持つAdropチームの支援を受けて最低限のリソースで始められるという点がAdControl導入の最大の決め手でした。
notion image

Q. 広告メディアとしてCarenationはどんな方向を目指していますか?

Carenationを利用するユーザーは、すでに医療消費をしており、健康に関わる重要な意思決定を下さなければならない状況にあります。この文脈で考えると、Carenationは「健康に関心があるユーザーが集まるメディア」ではなく、「今必要な健康・医療情報が届かなければならない空間」だと考えています。だから広告もユーザーに意味のある健康・医療情報を届けるメディアとして機能すべきだと考えています。
삼성화재 광고 이미지
삼성화재 광고 이미지

Q. 健康・医療製品の購入意欲が高いユーザーを対象にした場合、メッセージ戦略も変わるべきでしょうか?

一番重要なのは、ユーザーがメッセージを見た瞬間に「これは今の自分に必要な製品か」をすぐに判断できるようにすることです。Carenationユーザーはすでに医療消費をしており、患者の状態を軸に意思決定を下さねばいけない状況に置かれています。それだけに抽象的なブランドメッセージより、具体的で状況に合った情報のほうがずっと強く効きます。
特定の病気や疾患向けの製品だったら、それと直接つながるキーワードをメッセージの中で明確に口にするのが効果的です。ユーザーが自分の現状とメッセージをその場でつなげるようにしないといけないからです。
特にCarenationでは情報性メッセージの反応が高いという傾向があります。例えば、電動ベッドや車椅子といった福祉用具について、「補助金で購入できる」というメッセージは、単なる広告というよりも患者と保護者に必要不可欠な情報として受け取られます。実際、このようなメッセージは購入をためらっていたユーザーの意思決定を助ける役割を果たします。
サプリメントや健康機能食品も同じです。「吸収率がよい」のような効能中心の説明よりも、「食事が難しい状態でもなぜ今タンパク質をしっかり取るべきか」のように患者の状態を軸に必要性を説明するメッセージのほうが共感と反応をより引き出します。Carenationユーザーにとって重要なのは「よい製品か」ではなく、「今この状況で必要な選択か」をその場で理解できる説明です。

Epilogue

今回のインタビューを通じてCarenationが持つメディアとしての本質が明確になりました。Carenationは単にヘルスケア情報を消費する空間ではなく、治療・介護・購入という実際の意思決定が行われる瞬間にユーザーがとどまるプラットフォームです。医療・健康高関与製品を扱うマーケターなら、もはや患者の保護者だけに限らないターゲティングを越えて、介護者まで含めたケア現場全体に精緻にリーチする戦略を考えるべきタイミングです。そして「どんな状況にいる人に、どんな文脈で届けるか」という問いをもう一度投げかけなおすべきです。その問いへの最も現実的な答えは、今回のインタビューでCarenationにあると確認できました。
 
notion image