業界6年目でも、アドテックが難しい理由
前回のスプラッシュ広告の記事に続いて、今回はアドテック全般について記事を書こうと思います。ところが、いざ記事を書こうとすると、この市場について何から話すべきか、この市場について私の意見を述べてもよいのか、なんとなく不安になりました。韓国のアドネットワークを始めとして、グローバルリターゲティング企業、グローバルメディア企業などで様々な職務を経て、現在はWeb3広告市場を切り拓こうとしているAdropのマーケティング担当として勤務しているにもかかわらず、です。

私がなぜこんな不安を抱いてしまうのか。個人的に小心者だからという部分もあると思いますが、よく考えてみると、この業界の特性そのものがAからZまでを正確に把握するのが難しいように思います。アドテックを理解しようと多くの記事を読んできた方ほど、私の言うことに共感していただけるのではないでしょうか。アドテック業界には「これ!」という明確に決められたものがないんです。ハハ。毎日のように変わり、同じ言葉も人によって違う意味で使われ、担当者ごと、会社ごと、立場(デマンドやサプライ)ごとに市場の理解が少しずつ違います。今、いくつかの記事を経てこの記事を読んでいるあなただけがアドテックの概念に混乱しているわけではありません。いったいなぜでしょうか。その理由として4つをご紹介します。
アドテック市場を理解しにくくしている4つの理由と、それらへの対応策をご提案します。
1. 複雑な流通経路
簡単に言えば、アドテック業界は流通経路を拡大させる形で成長してきました。
もともとデジタル広告市場はとてもシンプルでした。広告主(Advertiser)とデジタルメディア(Publisher)という2つのプレイヤーが存在し、彼らはトラフィックと広告費をやり取りしていました。
- 広告主:広告を購入したい企業です。
- パブリッシャー:広告を表示させるウェブサイトやアプリを運営する人や企業です。
ところが広告主とメディアが増えるにつれ、両者を仲介するプラットフォームが登場し、さらにそうした仲介プラットフォーム同士をより効率的につなぐと謳う、さらに大きなプラットフォームも生まれました。
この繰り返しにより仲介事業者が増え、市場の流通経路は複雑化しました。代表例として、広告代理店、アドネットワーク、DSP、SSP、アドエクスチェンジ、メディエーション、DMP、MMPなどがあります。以前とは比較にならないほどステークホルダーが増えたため、現在では効率化のためにこの流通ステップを削減するべきだというSPO(Supply Path Optimization)の話題まで出てきている状況です。
2. プログラマティック広告とリアルタイム入札(RTB)
デジタル広告の大部分を占めるプログラマティック広告とは、自動化されたソフトウェアを通じて広告を売買する方式を指します。この取引はリアルタイム入札(Real Time Bidding)で行われ、1秒もかからずに取引が成立するため、高度なアルゴリズムとデータ分析が必要となります。
さらに、そのプロセスで入札のためにやり取りされるデータはもちろん、サプライサイドとデマンドサイドがそれぞれ効率のために独自に収集・分析するデータ量が非常に大量になるため、システムはさらに複雑になります。
(参考:ADTACK Creative、Times Internet: Everything. Everyday.)
3. 広告キャンペーンの多様性
広告主は目標と予算に合わせて様々な広告キャンペーンを運用します。キャンペーンごとに異なる目標、ターゲティング方法、広告フォーマットなどがあります。これらをすべて管理し最適化するために、多くの広告プラットフォームやツールが使われ、そのプロセスで複雑さが増します。たとえば、特定のターゲット層を対象とするキャンペーンは特定のプラットフォームを通じてしか効果的に伝達できないことがあるため、複数のプラットフォームを同時に使うことになります。
さらに、新しい広告メディアやフォーマットが絶えず生まれています。キャンペーンやプラットフォームに少し慎れたかなと思うと、又新たに学ぶべきものが出てくるのがアドテック業界です。
(参考:MarTech)
4. 技術と規制の変化
ご存知のとおり、アドテック業界は他のITサービスと同じように、急速に変化する技術と規制環境に直面しています。新しい技術が絶えず登場し、データプライバシーに関連する規制が強化されています。これはより、他の記事でもご紹介しますが、クッキーの終わりもデータプライバシーの問題から始まったものです。
そのため、アドテック企業は一夜にして(と言うには数年という準備期間がありましたが)完全に変化したパラダイムに適応するという課題に直面しました。これはクッキーという共通の識別子があった以前よりもさらに複雑な技術を必要とするものです。Googleさえ何度もクッキー廃止を延期しているほどですからね。したがって、そのアルゴリズムと技術に関する個人の「具体的な」理解は、さらに難しくなっていくでしょう。
まとめ(アドテック初心者のためのTip)
ここまで読んでくださった方は、こんなことを思っていらっしゃると思います。
「だから、一体どうしたらいいの?」
私の考える対応策は以下の通りです。
「市場やプレイヤーについての基本的な概念をしっかり身につけ、具体的な用語や技術に関する知識は人によって少しずつ違うことがあると考えてください」ということです。
つまり、自分が知っていることと少し違う話をする人がいても、その人やあなたのうちどちらかがアドテックについて間違っているとは限らない、ということです。(アドテックの範囲は本当に広大です!)ただし、もしあなたが知っている基本的な概念と非常に異なる定義や説明をする人がいたら、まずはその人にあなたがアドテックのどのセクターにいるのかを説明した上で、ご自身が知っている用語や技術について話してみてください。互いに知っているアドテックの知識について正直に話し合ううちに、きっと視野がどんどん広がっていくはずです!
もっと詳しく知りたい方は、以下の資料をご参考ください :D